1.AI基礎

2020年4月30日

AIとは

人工知能(AI:Artificial Intelligence、以下「AI」という)は「人間の知的ふるまいの一部を機械(プログラム)を用いて人工的に再現したもの」という内容になります。
予め人間が決めたアルゴリズムにより予測(回帰)するプログラムも含まれ広い意味を持ちます。

「AI」というと一般的なイメージは、ターミネーターのようなサイボウグの一部を再現しているような物で自己改良して発展できるイメージだと思われます。
ただ、AIは広い意味を持ちますので、機械自体が学習せず人間が予め決めたアルゴリズムで動作し予測や判断をする物を含まれています。
機械学習などの言葉も含めて理解していきます。

「機械学習」とは


図1.AIと機械学習

機械自体が「データを解析することで特徴を見つけ出し判断や予測アルゴリズムを導き出すこと」を機械学習といいます。つまり、判断や予測アルゴリズムを自ら作成改良できることをいいます。
AIの中で機械学習でない内容として人間が予め決めたアルゴリズムでしか動作しないプログラムなどです。
例えば、身長から体重を予測する以下のアルゴリズムを実装し、身長から体重を予測するアプリがあるとします。

予測体重 = 22 × 身長(m) × 身長(m)

AIは自己学習しないプログラムも含み機械が予測(回帰)するものをいいますので、このような(予め人間が決めた式で)予測するアプリでも「AI」ソフトとなります。
このように「AI」は幅広い意味を持つため、専門書籍タイトルなどでは「AI」の中でも「機械学習」と明確に分類して利用されている場合が多いです。また、ソフトウェアや家電などの製品については自己学習できるかにかかわらず「AI」という言葉を使って高機能をアピールする傾向にあると感じています。

本サイトでは「機械学習」が初心者向けな言葉でないため一般的な理解を深めやすいなどの観点から「機械学習」とは言わず「AI」という言葉を多用しています。
(一般的にイメージされるのと同様本サイトでは「AI」=「機械学習」として利用しています。)

AIの歴史

ブーム年代キーワード記事
第一次ブーム1950〜1970年代推論、探索パズル、迷路ゲームなど
第二次ブーム1980年代知識ロボット、エキスパートシステム、ファジィ
第三次ブーム2010年〜深層学習(ディープラーニング)、ビッグデータ解析画像認識、音声認識

【第一世代】
AI自体は古くからある技術や考え方で1958年にパーセプトロンというモデルを発表されておりニューラルネットワークの研究も1950年代頃から研究されてきています。第一世代ではコンピュータが利用できるようになりプログラムで「推論、探索」をさせることで迷路ゲームなどで人間よりも圧倒的に高いパフォーマンスを出すことができるようになります。決められたアルゴリズムでしか動作できず、現実の複雑な内容への対応が困難なため衰退していきます。

【第二世代】
第二世代は専門分野の知識を人間が機械に教え込み、実現するエキスパートシステムが誕生します。産業用ロボットが世界に普及することになり強化学習と呼ばれる手法が研究されることになります。ただ、例えば医療用のAIが患者を診断し適切な薬を処方するという場合には「痛い」という症状も「どこがどのように痛い」など詳細に表すには膨大な知識が必要でかつ曖昧な症状も許容できないと利用できません。基本的には人間が教え込むため、膨大な知識データを入力しないといけないことや曖昧さの扱いなど実用的でない物も多くあり衰退していきます。

【第三世代】
現在は第三世代となり、2006年に深層学習(ディープラーニング)という新しい技術が発明され、2012年の画像認識コンテストでカナダ・トロント大学ジェフリー・ヒントン教授チームがディープラーニングを利用して圧倒的な精度を示し勝利したことで一気に広まりました。また、音声認識やその他の複雑な分野で実用化されるようになりました。
人間が機会に教え込むという流れから機会が膨大なデータから自ら学習できるように進化してきています。また、AIを利用する以下の状況もあり昨今では急速に普及しています。
(1)ニューラルネットワークなどの手法の発達
(2)コンピュータ性能が著しい向上
(3)ビッグデータを取得できるネットやデバイスの充実

AIで出来ること

できること内容
分類
(Classification)
あらかじめ決められた分類項目にデータを区別します
回帰
(Regression)
一般的な「予測」を意味します。過去データを学習し、将来の数値を予測します。
クラスタリング
(Clustering)
似たものでグループ分けします
(分類項目も推定します)
推薦
(Recommendation)
データの関連性を導き出します
データの次元数を削減
(Dimensionality Reduction)
特徴的なデータを特定して次元(データ項目)を削減します
AIできることは上記の通りとなります。主に分類や回帰(予測)が一般的かもしれません。本サイトやAI学習サイトでのニューラルネットワークでは画像をラベル通りに「分類」する方法について説明しています。

機械学習のアルゴリズム

学習の種類内容
教師あり学習・正解が与えられます
・データの分類や予測を行う
教師なし学習・正解が与えられません
・データの性質や規則性を発見する
強化学習・部分的に正解が与えられます。
・報酬が最大になるよう判断します
機械学習のアルゴリズムを大きく分けると上記の通り、「教師あり学習」、「教師なし学習」、「強化学習」がああります。
本サイトのニューラルネットワークは「教師あり学習」を説明しています。予め全ての画像に正解ラベルが付いていてその内容を学習し最適な回答が得られるようAIが学習します。「教師なし学習」はデータの中から性質や特徴を捉えて分類したりできますが、本サイトでは説明していません。
強化学習は部分的には正解データを与え、また、与えられた報酬が最大になるように判断していきます。将棋や囲碁など多くの分野で実績を上げています。